塩田武士さんの『存在のすべてを』(2023年9月刊)が、第9回渡辺淳一文学賞(集英社など主催)を受賞しました。贈賞式は2024年5月17日(金)、東京都内で行われる予定。
渡辺淳一文学賞は、前年に刊行された小説単行本および単行本未刊行の文庫の中から、「純文学・大衆文学の枠を超えた、人間心理に深く迫る豊潤な物語性をもった小説作品」に与えられる賞で、第8回は古谷田奈月さんの『フィールダー』(集英社)が受賞。過去には川上未映子さん、平野啓一郎さん、金谷ひとみさんなど、ジャンルを問わずその年に話題となった作品が受賞している。
【作品のあらすじ】
平成3(1991)年に神奈川県下で発生した「二児同時誘拐事件」から30年。当時警察担当だった大日新聞記者の門田は、令和3(2021)年の旧知の刑事の死をきっかけに、誘拐事件の被害男児の「今」を知る。彼は気鋭の画家・如月脩として脚光を浴びていたが、本事件最大の謎である「空白の三年」については固く口を閉ざしていた。異様な展開を辿った事件の真実を求め、地を這うような取材を重ねた結果、ある写実画家の存在に行き当たるが――。