子どもが真っ先に「価値なし」と選別され殺された2つのユダヤ人ゲットーで、ナチスの強制収容所で、そしてアウシュビッツ死の行進で、たったひとりで、奇跡的に生き延びた10歳の少年がいた――。チェコ生まれのユダヤ人である少年は、ナチスの台頭にともない家族でポーランドへ逃げたものの、捕らえられ、アウシュビッツで両親とも引き離されてしまう。最後まで諦めないことを教えてくれた両親の愛情といくつかの幸運、人々の助けによって生き抜いた日々……恨みや憎しみの感情を克服し、人権法の権威となった著者が、長らく家族にも語れなかった体験と、ホロコーストの場で問われる人間の勇気や倫理感を、子供の目でつづった感動の実話。