祖父の火葬の夜、赤橙色の囲みを破り、白い棺のなかから死者が立ちあがる。ジャングル・ジムに登りきったときふいに空が展(ひら)け、訪れる静かな世界。闇の中で気づく花の匂い。路地の奥にひそむ音と人の秘密――。子どものころの鮮やかに記憶された情景を思い起こして綴られる言葉は、生の一瞬の輝きを照らし出す。さまざまなイメージが喚起され、また心にしみじみと染みこんでくる、何度でも読み返したい鮮烈な詩文集。本作は第一回桑原武夫学芸賞を受賞。巻末には桑原武夫学芸賞の選考委員による選評も収載。
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