東日本大震災、そして原発事故が起きて以来、福島の大勢の人々は、住み慣れた故郷を追われ、流転の避難生活を送る。彼らは今何を思うのか? 2011年6月、震災後3ヶ月を機に、全国に散らばった避難住民たちの声を集めるため、福島大学と朝日新聞社は共同で「聞取り調査」を開始した。福島へ戻りたいか、戻りたくないか? 国や自治体に何を感じているか? 今の望みは?――6月、10月、翌2012年2月と聞き取りを継続するこの例のない画期的な調査で集まった彼ら一人ひとりのリアルな声は、過酷な現実と、それでも、各々が今居る場でしっかりと生きていく様子を多層的にあぶり出していく。さらに聞き取りをした記者みずからが、18名のストーリーを新たにたっぷりと書き下ろす。報道では書ききれない切実なドラマがそこにある。巻末には福島大・今井照教授による、今後への提言も収録。福島避難住民の現実と、そしてその先の未来を照らす必読の書。