ネアンデルタール人骨の発見地として有名なネアンデル渓谷は、かつて風光明媚な土地だった。模式標本となった人骨は1856年に渓谷内の「小フェルトホーファー洞窟」で発見されたという記録が残っている。その後、じつはネアンデル渓谷は19世紀の産業革命期の徹底的な石灰岩採掘で削平され、洞窟自体がなくなってしまった。考古学や人類学にとって非常に重要な出土地点がわからなくなってしまったのだ。以来、出土地点の「再発見」は幾度となく試みられたが、誰にも果たせなかった……。
だがついに、発見から143年を経て、奇跡的に地点が特定された! なぜ、どうやって? 何が「再発見」を可能にしたのか? 「再発見」をめぐる研究者たちの熱き物語。