カビは身近な生き物だが、意外にその実態は知られていない。人に害を与え、重篤な病気を引き起こすカビがある一方で、「善玉カビ」もある。チーズや醤油、日本酒、味噌などの発酵食品はカビを用いてつくられるものだし、抗生物質のペニシリンはカビから生まれ、医療の世界に画期的な成果をもたらした。人類より遥か古く、10億年前にカビは地球上に誕生し、人類はその多大な恩恵を被ってきた。いわば、カビと人は共存関係にある。本書では、これらのカビの正体や作用、人とカビのかかわりの歴史を詳述するとともに、洗濯機、浴室、食品に発生するカビなど身近な事例から、カビ対策やカビとのつきあい方も探る。