2011年3月14日、日本を根幹から揺るがした東日本大震災の3日後、ある男の初公判が開かれていた。
郵便不正事件で証拠品のフロッピーディスクを捜査の見立てに合うよう改竄し、証拠隠滅罪に問われた大阪地検特捜部の元主任検事、前田恒彦。
かつて「大阪特捜のエース」と呼ばれた男は、なぜ犯罪に手を染めたのか――?
2010年9月21日、内部リークにより特ダネをつかみ、この検察史上最低最悪のスキャンダルをスクープした朝日新聞大阪社会部の若き記者たちが、命がけでフロッピーディスクの鑑定に奔走するといった調査報道の実態、「巨大権力」検察に巣くう病巣をつまびらかにする。
文庫版あとがきでは、事件に関する最新情報を加筆。証拠改竄事件によって「焼け野原」となった検察組織は、今どうなっているのか?