中東やアフリカ、南アジアなどの古い価値観が残る社会で起きている「名誉の殺人」。婚前・婚外交渉を行ったり、親の認めていない男性とつきあったりした女性が、父親や兄弟の手で「家族の名誉」を守るために殺される。犠牲者は世界中で年間5000人にのぼるという。
著者は、母や妻、姉妹、娘を殺害して収監されたトルコ人の男たちにインタビューし、10のケースを本書で取り上げる。男たちは、迷いなく殺したのではない。その任をこなさなければ、共同体で生きていくことができなかったのだ。名誉とはなんなのか? 男たちは後悔しているのか――?
暴行の末やがて殺される女性たちの悲劇だけでなく、一族の名誉に押しつぶされる実行した男たちの傷、それらの傷に苦しみ続ける家族の姿をリアルに伝える衝撃のノンフィクション。