小規模なテロが頻発するようになった日本。ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、実行犯たちは一様に、自らの命をなげうって冷たい社会に抵抗する《レジスタント》と称していた。彼らはいわゆる貧困層に属しており、職場や地域に居場所を見つけられないという共通点が見出せるものの、実生活における接点はなく、特定の組織が関与している形跡もなかった。いつしか人々は、犯行の方法が稚拙で計画性もなく、その規模も小さいことから、一連の事件を《小口テロ》と呼びはじめる――。テロに走る者、テロリストを追う者、実行犯を見下す者、テロリストを憎悪する者……彼らの心象と日常のドラマを精巧に描いた、前人未到のエンターテインメント