十人の家族支えし水瓶は空き家の壁のオブジェとなれり――岩手県紫波町の鍛冶屋の一家の家族史を、入選11回、朝日歌壇常連の著者が短歌とエッセーに綴る。夫と死別し早朝から豆腐屋で働き娘を育てた姉、復員後、農村振興会を立ち上げたものの志半ばで逝った兄、夜間中学を卒業後、苦学して判事になった兄、そして先立った二人の妻。今は亡き肉親たちの面影をたぐり寄せ、それぞれの人生を淡々と書き記し、歌に詠んだ。一人暮らしの日々、海外旅行での出来事などの身辺雑記と、短歌百首も併録。
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