お正月の門松、雛祭りのモモ、七夕のササや、お月見のススキなど、古くからある日本の行事やならわしには、かならず特定の植物が登場する。それはなぜか? 植物の特性を、縄文時代人の信仰や中国の古代の習俗など、広く歴史的見地と照らし合わせ、行事の原点を明らかにしてゆく。すると、四季に恵まれた風土で、自然との結びつきを大事にし、時に畏怖し、破壊することなく共存してきたかつての日本人の暮らしが見えてくる。
神と交わる木、マツ/アズキの威力/春の七草の変遷/節分植物を推理する/ウメの香/ツバキ5千年/ひな祭りの背景/花祭りの底流/花見の源流/フジの象徴と実用/端午の植物 ほか