自費出版専門の出版社ユアーズ社の編集者太田恭一は、人生を本にしたい中高年の様々な依頼に応対する日々。ある日、芥川賞作家である漆多香子から母エリナの自伝を出版して欲しいという依頼が来る。その原稿には娘の担当編集者と性的関係を持ったことなどを赤裸々に描いており、出版後、にわかに話題になりはじめる。
また、死んだ夫の人生を本として残したいと高橋由貴という美しい女性が現れる。美貌も相まって、出版後すぐにドラマ化され部数も伸びるが、彼女がAV作品に出ていた過去がネットで騒がれて…。
出版をめぐる人々の欲望を鮮やかに描く、朝日新聞連載小説の書籍化。