著者は高齢者法の第一人者で、東大での講義をもとに、わが国の法律のどこに問題があり、それをいかに改めるかのヒントをわかりやすく説明する。すでに3300万人以上いる高齢者と、もうすぐ高齢者になる人たちが、老後の安心を得るための格好の書。
人には頼りになる人とならない人がいる。実は法律も同じ。たとえば成年後見制度。時間と費用をかけて成年後見を任命しても、独居老人が急病のとき、役に立たない。たとえばリビング・ウィル(終末期医療に関する事前指示書)。本人が慎重にせっかく書いたものでも、法律上は無視しても構わない。たとえば遺言。相続争いを避けるために作成した遺言が効力をもたないとされる場合がある。たとえば高齢者虐待。もっと早く発見する法制度ができていない。
要するに、法律制度が「若年社会」仕様のままで、「高齢社会」のものになっていない。高齢者問題がじつは法律問題ともいえることを、豊富な実例でわかりやすく説明する。
●「目次」から
複雑な手続、身近な弁護士の不足
家族に責任?――認知症高齢者をめぐる名古屋高裁判決
がん告知をめぐる最高裁判決
日本のガラパゴス状態――終末期医療の差し控えと中止
高齢者と成年後見制度
高齢者と住まい――終の住処の選び方
日本の特養入所契約では
死後への配慮と相続争い
高齢者虐待