憲法9条の戦争放棄条項の発案者と言われている政治家・幣原喜重郎の一生を描く長編評伝。昭和20(1945)年10月6日、昭和天皇は幣原に首相就任を要請する。第一線を退いていた73歳の老外交官は、こうして戦後2人目の総理大臣となった。それは、新憲法制定、天皇制の存廃という戦後最大の難問を背負うことでもあった。国際協調路線の「幣原外交」で一時代を築いた幣原は、天皇制存続のために、マッカーサーとどんなかけひきをしたのか? 昭和の激動とともに生きた幣原の一生を克明に、膨大な資料をもとに描く力作。〈解説・保阪正康〉。