山崎朋子は、なぜ底辺で生きる女性たちに話を聞き続けたのか。
明治時代に天草からボルネオのサンダカンにわたった「からゆきさん」の聞き書きで大ベストセラーとなり、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『サンダカン八番娼館』の著者の波瀾に満ちた自伝。
著者は女優になる夢を密かに抱きながら教員として上京、朝鮮人の青年と出会い、事実婚と別れ。その後知人に顔を切られて重傷を負うアクシデントに遭う。女優になる夢を絶たれた著者は、これまでの半生を省みて、歴史的に不当な差別を受けてきた女性たちの研究を生涯の仕事とすることに決める。
封建的な考えの残る戦後の日本で、結婚、出産し、いちはやく夫婦共働き、共子育てを続けた著者は、どんな困難にもめげずに自立し続けた。力強い自伝。