今度のこうの史代は<4コマ漫画×現代版「鳥獣人物戯画」>!
うさぎの家族と周囲の動物たちの日常風景を、ユーモアをたっぷり交えて描いた4コマ漫画。個性豊かな動物たちは、いつまでも眺めていたいほどチャーミングです。このキャラクターは、国宝「鳥獣人物戯画」を著者が現代風にアレンジして生み出したもの。メインの動物はもちろんうさぎ、カエル、さるで、墨の筆致を生かしてのびのびと描かれています。
さらに不思議なサブタイトル「漫符図譜(まんぷずふ)」。「漫符」とは、目が回ったときのグルグル、ひらめいた時の電球、動いた軌跡の線など、漫画特有の表現記号の総称です。著者はその漫符を採集し、「図譜」、つまり事典のように1つずつ解説を付しました。たとえば・・・・・・
(♪の漫符):「1(一つだけの場合)機嫌が良いこと、楽に何かをこなしている様子を表すことが多い。
2(複数の場合)実際に音楽が鳴っている様子を表すことが多い。」(本文より)
そして、漫符1つずつの「用例」が本編の4コマ漫画になっているという仕掛け。つまり本書全体が本邦初の“漫符事典”になっているのです。
著者プロフィール:こうの・ふみよ。1968年生まれ。広島市生まれ。95年『街角花だより』でデビュー。2004年発表の『夕凪の街桜の国』でメディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞を受賞し、07年に映画化もされた。07〜09年発表の『この世界の片隅に』でメディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、16年にはアニメーション映画化され大きな話題を呼んだ。12〜13年発表の『ぼおるぺん古事記』1〜3巻で、古事記出版大賞稗田阿礼賞を受賞した。他の著作に、『ぴっぴら帳(ノート)』『さんさん録』『平凡倶楽部』『日の鳥』『荒神絵巻』など。