ニュースとはなにか。そもそも情報とはなんだろうか。
〈真実と偽り〉〈正義と悪〉の二項対立を超え、その狭間の無限の事象をとことん見つめて発信を続ける著者自らの証言。「どれが嘘でどれが真実かなどと議論しても意味がない。フェイクを分別しようとの意識は大切だが、情報とはそもそもが視点によってくるくる変わるとの意識を常に持つべきだ」。オウム真理教、3.11、死刑、〈FAKE〉、常にタブーに身を照らし、「世界はグレイゾーンで成り立っている」と唱える数々の挑戦の記録。ラストの著者の言葉にひとつの答えが導かれる、ポスト・トゥルース時代必携の書!
◆プロローグより──
〈こうして社会とメディアと政治は、互いに刺激し合いながら、少しずつ同じレベルでスライドする。楽なほうに。売れるほうに。票が集まるほうに。真実と虚偽。黒と白。二極化は楽だ。だって曖味さが消える。すっきりする。右と左。正義と邪悪。敵と味方。悪は叩け。正義は勝つ。やがて集団の熱狂に身を任せながら、僕たちは同じ過ちをくりかえす。〉
◆角幡唯介氏(ノンフィクション作家・探検家)書評より──
〈われわれが避けなければならないこと、それは誰もが口をつぐむ沈黙の世界だ。そのために視点や表現が封じられてはならないという叫びが、私はこの本から聞こえた。〉