――2018年10月、築地市場、ついに閉場――
1603年、日本橋魚河岸誕生
1935年、築地開場
2018年、豊洲新市場へ
市場の歴史、建築プロセス、しきたりなど、
「築地史」の第一人者が新発掘・未公開写真約400枚の貴重な写真で解説。
世界最大級の市場のすべてを網羅した、永久保存の完全版。
(はじめに)思い出となる風景に暮らして
築地市場地図・隅田川と銀座に面した築地市場
■第一章 巨大市場、24時間の鼓動
水産、青果物を取り扱う築地市場。水産物の取扱規模は、世界最大級だ。
眠ることなく動き続ける「築地ブランド」の現場を訪ねる。
■第二章 解体を前に、建物の記憶を歩く
関東大震災による帝都復興の最大事業として完成した築地市場。
竣工時の面影をたどりながら、消えゆく施設を歩く。
■第三章 魚河岸と大根河岸。ルーツはふたつの河岸
水産は日本橋、青果は京橋の市場。
扱う産物からそれぞれ魚河岸、大根河岸の愛称で呼ばれた。
ルーツを訪ね、築地移転への経緯を探る。
■第四章 激動の昭和。開場、戦争、復興へ
生みの苦しみを経ての開場。
それもつかの間、戦争により市場機能は改変、戦後は進駐軍の施設に。まさに激動の日々を追う。
■第五章 築地400年の時空散歩
江戸時代の初め、海を埋め立て誕生した築地。
大名屋敷、文明開化をけん引するホテル、海軍の中枢基地と、ドラステイックな変貌をとげてきた。
■第六章 移転、再整備、移転。豊洲への道のり
昭和の宿題といわれてきた築地市場の移転問題。
開場して30年、早くも移転話が浮上する。
新天地、豊洲へいたる長き道のり。
■第七章 豊洲へとつなぐ伝統・風習
初荷、供養祭、信仰。自然を相手に商う日々のなか、
節目に催される様々な行事は、豊洲へつなぐ築地の心。
■資料編
・築地市場年表
・参考文献
・築地市場の仕組み
・築地市場の概要
・掲載写真クレジット一覧
・築地市場のアーカイブス「銀鱗文庫」
【著者プロフィール】
<福地享子 ふくち・きょうこ>
宮崎県生まれ。婦人画報社の編集者を経てフリーランスに。ファッション誌や料理本などを手がける。1998年、築地市場の水産仲卸「濱長」のチラシ作りを頼まれたことをきっかけに同店で働き始める。2010年から築地市場の文化団体「築地魚市場銀鱗会」の事務局長。著書に『築地魚河岸 寿司ダネ手帖』、編著に『向田邦子の手料理』など。
<築地魚市場銀鱗会・つきじうおいちばぎんりんかい>
築地市場の水産仲卸有志でつくる文化団体。昭和6年に発足した「東京魚市場青年会」からの歴史をもち、現在はNPO法人として、「魚勉強会」ほかのさまざまなイベントを開催する。事務所では「銀鱗文庫」の名のもと、市場や水産関係の本や資料を管理・公開。