癒やし、食料、薬、コスメ、ステータスシンボル・・・・・・
数多くの植物が激動のヨーロッパ史上で重要な役割を担った。
植物を通して見る名門王家の歴史絵巻!
約650年にわたりヨーロッパに君臨したハプスブルク家。一族の多くが花と緑を愛したという。植物は食料や薬、香水、ステータスシンボルにもなった。コロンブスが持ち帰ったタバコは王家を潤し、オスマン・トルコとの和平交渉で得たライラックは、それまでほとんど花が咲かなかったヨーロッパに定着する。南国への憧れからオレンジの温室「オランジェリー」の建造が盛んになり、豪華絢爛なそれは社交や宮廷催事の場ともなった。
この時代に多くの植物がヨーロッパに持ち込まれた背景には、珍しい植物を収集するためにヨーロッパ王家によって世界各地に送り込まれた「プラントハンター」の存在がある。シーボルトもその一人だ。
本書は現在のヨーロッパに定着しているさまざまな植物の伝来背景・逸話に触れながら、ハプスブルク一族の栄華と衰亡の歴史を繙く。カラー図版多数。
【目次より】
第一章 植物はどのように西欧に定着したか
第二章 ハプスブルク王朝の誕生
第三章 富と和平を運んだ植物
第四章 チューリップがたどった運命
第五章 戦火にさらされたシェーンブルン庭園
第六章 庭園を輝かせた女帝マリア・テレジア
第七章 「花の皇帝」とその家族
第八章 落日の帝国と皇帝たち
第九章 皇妃エリザベートと花たちの出会い
第十章 日本とハプスブルク家
第十一章 オレンジの温室「オランジェリー」