120年にわたる近代オリンピック史上には、
スタジアムの内外で繰り広げられた、
無数のドラマがあった――。
1896年の第1回アテネ大会は参加者約240人中200人がギリシャ人、「金メダル」は銀製だった。第2回で女性が初参加し、第4回でメートル法が採用され、第5回で初めて金栗四三ら日本人が出場・・・・・・。
いまやオリンピックは120年以上を生き延び、出場選手は延べ15万人を超える。政治や時代を背景に、スタジアムの内外で、無数のドラマが繰り広げられてきた。
第1回アテネから第31回リオまで夏の全大会を、エピソードをつなぎつつ、出場日本人を切り口に物語に仕立てる。「アマチュアリズム」「ドーピング」「ジェンダー」など、現在につながるテーマも盛り込んで語り下ろした増補改訂版。序として「三つの『東京オリンピック』」を収録。
「ついに迎えた東京オリンピックで、日本のスポーツは世界に向けて敗戦からの復興をアピールした。円谷がマラソンで掲げた日の丸は、日本が金栗四三から求め続けてきた念願であり、ベルリン・オリンピックの孫基禎の苦い思い出を糊塗する誉れだった。新たな時代の幕開けの、はずだった。ではなぜ、円谷幸吉は死んだのか」(「三つの『東京オリンピック』」より)