生きていることに疲れ果て、自分の人生に終止符を打つことを考えながらたどり着いた心寂しいBARで、<僕>はある初老の男に突然、声をかけられた。
「・・・・・・死ぬことを考えて飲む酒は美味しいかい」
男はグラスに酒を注ぎながら、おもむろに自分のこれまでの人生について語り始める。
残酷ないじめを受けた過去、肉親との確執、道を踏み外してしまった青春時代の過ち、思わぬ悲劇へと転がった初恋、追いかけて挫折した夢、乗り出した映画制作事業・・・・・・
男の語る壮絶な人生に最初は躊躇うも、話を聞くうちに<僕>は次第に生きる意味を思い出していく。
やがて男の語る物語は、人生を破滅に追い込まれ、さらには命を奪われかけた宿敵、荒屋敷への復讐物語と変わり、より一層凄まじさを増していく。
果たして男の語る物語の行く先は――
そして<僕>が自分の人生に下した決断は――
影山 龍司 (かげやま・りゅうじ)
一九五九年、和歌山県生まれ。影山塾エンターテイメント代表。
数多くの劇場映画作品の製作総指揮を務める。
代表作に、映画『リトルパフォーマー風の鼓動』
『SHADOW KIDSシャドーキッズ』『JK☆ROCK』など。
映画製作の他にも、音楽プロダクションの運営や投資事業など、多岐にわたり事業を展開している。
本作は構想二〇年、自伝的な要素を盛り込んだ初めての小説作品となる。