選書
社会
日本のイスラーム
歴史・宗教・文化を読み解く
小村 明子
ISBN:9784022630919
定価:1650円(税込)
発売日:2019年12月10日
四六判並製  280ページ  選書0991 

イスラームはもはや遠い存在ではない。

年々増加している観光客だけではなく、労働者、東南アジア諸国を中心とした留学生、とくに女性に多い日本人改宗者など、私たちの身近で生きる「隣人」となりつつある。加えて、ビジネスや労働力としての側面でも無視できない。

日本とイスラームの縁は明治時代まで遡る。戦前は回教政策も取られ、交流が活発だった時期もあった。だが、近年は、テロや厳しい戒律などのイメージもあり、その印象はネガティブなまま更新されていない。

本書は、日本とイスラームの歴史的関係を通覧し、わが国に住むムスリムの知られざる実像に肉薄。彼らへの多くのインタビューを通して、地域交流やハラールビジネスの実情と課題を浮き彫りにし、真の共存を探る。
著者の長年に亘るフィールドワークの集大成。

<目次>
はじめに
本書を書くにあたって
凡例

第1章 イスラームとは何か
イスラームとは何か/イスラームの六信五行について/イスラームの成立の歴史/イスラームの拡大/ハディースの解釈について/シャリーア(イスラーム法)について/誤解されるイスラームの教義

第2章 日本におけるイスラームの歴史
歴史区分/I.1890年から1945年(終戦)まで/エルトゥールル号遭難事件と最初の日本人ムスリム/日露戦争と亡命タタール人/日本国内におけるモスクの開設/回教(イスラーム)政策/II.1945年(終戦後)〜1974年頃まで/日本人ムスリムによるイスラーム団体の設立/外国人ムスリムとの協働/日本人ムスリムによる最初のクルアーンの翻訳/海外に出る日本人とイスラームとの出会い/III.1975年頃〜1980年代前半まで/IV.1980年代後半〜1990年代(バブル期)まで/外国人労働者大量流入時代へ/礼拝施設の問題/V.1990年代(バブル崩壊後)〜2018年(現在)まで/外国人ムスリムとの結婚による日本人改宗者の増加/礼拝施設の増加/外国人労働者から研修生・留学生の時代へ/現在の日本社会におけるイスラーム的な環境整備について

第3章 日本人ムスリム
「日本人ムスリム」とは何か/日本人ムスリムの定義について/戦前および終戦以降の日本人ムスリムについて/2019年時点の日本人ムスリムの人数について/1980年代後半からの日本人改宗ムスリムの改宗理由について/改宗者の改宗後のムスリムとしての生き方の事例/5名の改宗者からみたムスリムとしての生き方:「ムスリムであること」の意味/ムスリム第2世代について

第4章 日本国内の外国人ムスリム
亡命タタール人/アブデュルレシト・イブラヒム/ムハンマド・ガブドゥルハイ・クルバンガリー/在日タタール人の抗争/日本側の方針転換/国家政策のためのイスラーム/1980年代後半からの外国人ムスリム労働者/1990年代における外国人ムスリムたちの生活/外国人ムスリムの存在がもたらす課題/2018年時点の外国人ムスリムについて

第5章 外国人ムスリムと「難民ビザ」
外国人材受入れ政策/1980年代〜1990年代における外国人労働者問題/「難民」とは/日本の難民認定申請について/ロヒンギャとクルド人/外国人ムスリムにおける「難民ビザ」事例/日本の外国人材受入れ政策の未来

第6章 日本におけるハラール・ビジネスの実態
なぜ「ハラール」なのか/非ムスリムにとってわかりにくいハラールの概念/クルアーンにおける食品のハラールの記述について/なぜハラールがビジネスとして着目されたのか/ハラール認証に対する日本人ムスリムたちの反応/なぜ認識の差が生じたのか/理想と現実の狭間で:何故、対応できないのかを理解する/日本人ムスリムの意見として/誰のためのハラール食品なのか

第7章 日本とイスラームの共存に向けて
日本とイスラームの共存について/(1)外国人ムスリムの存在(2)イスラームの価値観:宗教としてのイスラーム・文化としてのイスラーム「イスラーム=宗教>文化」を理解すること=イスラーム的価値観の理解/ハラール・ビジネスから見えてくる日本の現状/日本とイスラームの共存に向けて

おわりに

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