選書
歴史
アフリカからアジアへ
現生人類(ホモ・サピエンス)はどう拡散したか
西秋 良宏
ISBN:9784022630940
定価:1650円(税込)
発売日:2020年2月10日
四六判並製  268ページ  選書0994 

ホモ・サピエンス(現生人類)は、いつアフリカを出て世界各地に拡散したのか。旧人や原人がいたアジアに進出した際、彼らの間で何が起き、どうして、ホモ・サピエンスだけが生き残ったのか。彼らは、どうやってアジアの果ての島国、日本列島へたどり着いたのか。私たち自身のルーツにもかかわるこれらの問いには考古学や人類学だけでなく関連諸分野の研究者の関心も高く、日々、新たな発見や新説の提唱があいついでいる。
拡散の経緯は近年、進展著しいゲノム解析ですべて説明できるものではない。ヒトの生存を支えた文化に何が起こっていたのかの考察も欠かせない。
古代ゲノム解析の成果だけでなく、考古記録や人類化石など伝統的な野外調査の成果、実験考古学、古環境復元、さらには数理モデルによるヒトと文化の交替メカニズムの解析まで、ホモ・サピエンス拡散の物語について文化に視点をおいた最新研究をわかりやすく解説する。

目次
はじめに 西秋良宏

1章 現生人類の出アフリカと西アジアでの出来事………門脇誠二
1 現生人類が拡散したころの西アジア
2 現生人類とネアンデルタール人の出会い
3 絶滅とボトルネック
4 現生人類の行動変化 上部旧石器時代のはじまり
5 何が重要だったのか?

2章 東アジアへ向かった現生人類、二つの適応………西秋良宏
1 現生人類がアジアで出会ったかもしれない先住人類
2 第一次出アフリカ
3 第二次出アフリカ
4 現生人類たちの技術
5 生態環境と社会

3章 現生人類はいつ東アジアへやってきたのか――中国での新発見を中心に………R・デネル/訳・西秋良宏
1 東アジアの環境的背景
2 現生人類以前
3 現生人類の時代
4 中国の人類学最前線

4章 日本列島へたどり着いた三万年前の祖先たち………海部陽介
1 東アジアのホモ・サピエンス
2 人類最古段階の海洋進出
3 三万年前の航海

5章 私たちの祖先と旧人たちとの関わり――古代ゲノム研究最前線………髙畑尚之
1 現生人類の第一次出アフリカ――約二〇万年前―一〇万年前
2 現生人類の第二次出アフリカ――約一〇万年前―五万年前
3 ヨーロッパ現生人類集団の形成
4 アジア現生人類集団の形成
5 現生人類に残る旧人のゲノム

6章 現生人類の到着より遅れて出現する現代人的な石器――現生人類分布拡大の二重波モデル………青木健一
1 集団の大きさと文化水準に関わる理論
2 現生人類と旧人との種間競争
3 第二波到着の遅延が意味すること
4 低人口低文化水準から高人口高文化水準への確率的遷移

7章 アフリカからアジアへ――文化の視点………西秋良宏
1 ヒトか文化か
2 ヒトと文化の拡散を調べるための視点
3 私たちが拡散できた背景

おわりに 西秋良宏

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