「戦争を知らない子どもたち」世代として生まれ、昭和、平成、令和をエネルギッシュに駆け続ける女性の視線で切り取った「庶民の暮らしの風景」。
戦後、徳島からの疎開先、丹波・鴨庄に生まれ、里山を駆けめぐって育った著者の半生は、日本の戦後復興から経済成長の過程とそのまま重なる。大学闘争の最中に上京、学生時代を過ごし、恋愛、就職、結婚、出産。夫の海外赴任とともにドイツ、フランスで数年生活した。ベルリンの壁崩壊を経験し、現地の大学で学び、ヨーロッパの文化・歴史に親しむ。帰国後は高校の英語教師として教壇に立ち、いまだに現役。日々高校生たちのみずみずしい感性に触れている。数年前に夫を見送り、いま「峠の茶屋でひと休み」。人生100年時代、子どもを育て、夫を送り、そして……ここからの人生をどう楽しんで生きようかと目を輝かせる女性のエッセイ集。
【目次から】
はじめに
プロローグ 丹波、鴨庄への道
第一章 里山の自然児
忙しい少女
里山の自然児
海への憧れ
チャンバラ映画
戦争の尻尾(舞鶴港)
ひよこ復活騒動
新町横丁の長兵衛さん
幸せを運ぶ異星人
トロイメライと幼稚園
隣の筆職人
犂に乗った少女
赤胴鈴之助
第二章 豊楽荘の人間模様
バレーボール人気
ベトナム戦争の影
東大入試が中止に!
続く大学封鎖
豊楽荘の人間模様
キャンパス同人誌
東男に京女
イギリス遊学
第三章 都鳥に教えたい
無欲の勝利
かきつばたきつつなれにし
都鳥に教えたい
鳥たちとの“競存”
海外交流ボランティア
英語塾オープン
オーストラリアでジェンダー研究
第四章 ドイツ、フランス滞在 1987年~1995年
森の中のゲルマンの民—ドイツ
木も花も人も自由—フランス
質実剛健 ドイツの味
華やかなフランスの味
ベルリンの壁崩壊
土曜日は補習校
ドイツの怖い漫画
流浪の民
アメリカン・インターナショナル・スクール
第五章 県立高校の教師として
阪神淡路大震災
愛知県立高校勤務(1995~2013)
神奈川県立高校勤務(2013~現在)
大学入試への提言
第六章 夫との別れ—2012年
死者と生者
引っ越し
田園都市
不思議な使者たち
与謝野晶子の晩年
「隣る」ということ
第七章 江戸の情緒に出会う
江戸情緒
「奥の細道」紀行
鳴子、鬼首
旅行詐欺に遭う
60代でホームステイ in OX
銭洗い弁天
「春日の局」—丹波から江戸へ
40年振りに会う姪っ子は 丸川珠代さんの横顔
タイの大学で日本の詩について語る
第八章 パンデミックを生きる 2020年の日本の風景
コロナウイルス禍
自宅待機をどう過ごす?
テレビ電話でランチ
巣ごもり家族
父母からの伝言
時代に抗う母の短歌
母からの便り
父からの便り
あとがき