○国際アンデルセン賞受賞作家・角野栄子さん推薦
「夏休み、さるすべりの館の扉が開きます。
昔が姿を現します。昔は生きています。今もこれからも。
入っていきましょう、さあ、走って」
〇歌人・穂村弘さん推薦(解説より)
「魔法の季節は短い。たった一度きりの永遠の夏。その切なさに、胸が締めつけられる」
○小説の内容
夏休み! 小学5年のミレイちゃんが、鎌倉の「さるすべりの館」で、バーバと犬のリング、ぬいぐるみのビーちゃんと過ごすひと夏の物語。
さるすべりの館には、潜んでいた過去の謎があった。赤の部屋には何があるの? なぜ止まっていた時計がとつぜん動き出した? 緑の部屋にある肖像画はいったい誰?
そしてミレイちゃんは、赤いさるすべりの樹の下で、ついに大切な人に出会う。かけがえのない何かを見つける、著者がやさしく柔らかな文章で、精魂をこめた物語。朝日小学生新聞 2017年7月1日から9月30日まで連載。著者にとってはじめての、小学生から大人まで楽しめる長篇小説。今日マチ子さんの絵も90点収録。
○著者の「あとがき」から
『ゆっくりおやすみ、樹の下で』は、ぼくにとって最初の「児童文学」となります。もちろん、どんな小説も真剣に取り組みますが、この作品ほど、長く時間をかけて構想を練り、資料にあたり、細部を考えた作品は、いままでなかったように思えます。それは、子どもたちこそ、もっとも手ごわい読者だからです。
○「目次」から
な・ん・て、素晴らしいんだ! 大、大、大好き! 完璧に幸せな家なんてどこにもない 毎日が夏休み(だったらいいのに) 大切なことをいう日 いざ、鎌倉! 大きなエプロンの人 わたしの「バーバ」 リング、リング、ベル! 斜めに曲がった振り子時計 鍵のかかった部屋 大バーバ 犬たちの丘 「なにもしない」をする 犬たちの「名前」 友だち みじん切りのための音楽 「なにか」が扉を 笑う人
ベルリン、1920 昭和11年、夏 ぬいぐるみたち ゆびきりげんまん 19歳の夏 恋する乙女 大好きなこと、大切なこと、愛されること 大きな、赤い花が咲く樹の下で ゆっくりおやすみ、樹の下で