30万人の警察官を率いるトップ、警察庁長官はどんな仕事をしているのか。警視総監の仕事と何が違うのか。どのようなキャリアパスを経て長官は選ばれるのか。キャリアとノンキャリアの本当の関係とは──。國松孝次第16代長官をはじめとした4人の元長官と1人の元警視総監にロングインタビューし、知られざる警察トップの日常と修羅場に迫る。
はじめに──増え続ける警察の仕事
第一章 警察とその組織
ふたつの警察──警察庁と都道府県警察
警察官の階級
警察庁長官と警視総監
警察庁長官と警視総監の報酬
階級や序列と並んで重要なのは入庁年次と重大事件に遭遇したかどうか
総監の方が退任後の働き場所が増えた
警視総監を退官してからやること
国家公安委員会と警察庁
国家公安委員会の「管理」とは。
第二章 警察の現在動向
犯罪も交通事故も減っている。しかし、捜査に関する仕事は増えている
クレイジーハロウィーン事件
警察の本質─―第二条で縛られた組織
難しい警察法改正
第三章 警察の成り立ちと警察庁長官の原型となった三人の長官
国家警察の時代
マッカーサーの警察へ
警察庁、その役割の拡張
警視総監と警察庁長官になった男──斎藤昇
総理大臣にノーと言った長官─―柏村信雄
日本のジョセフ・フーシェ──後藤田正晴
長官時代の言葉
第四章 警察庁長官の仕事と資質
警察庁の仕事
◎デジタルにシフトした長官 米田壯元長官
(第24代長官:2013年1月25日~2015年1月22日)
経験者が語る警察庁長官の仕事
平成の犯罪激増と犯罪抑止対策
警察改革とは何か
取調べの録音・録画
初めての事件修業─―豊田商事事件
人物を見る。人物を覚える
和歌山で毒物カレー事件に遭遇
警察庁長官の一日
警察庁長官への道
警察と他省庁の似たような仕事について
今後の警察、そして我が国の問題点
法と正義の人
政治家に人事を握らせない
警察庁長官は他省庁の大臣よりも権限も予算も大きい
警察庁長官の弱点
第五章 元長官たちの話―─長官になるのに必要なキャリアとは何か
◎刑事畑の正統派長官 吉村博人元長官
(第21代長官:2007年8月16日~2009年6月25日)
なぜ警察に入ったか
修業時代
選挙違反
神奈川県警捜査二課長
警視庁捜査四課長
総会屋対策
大阪府警
◎鉄人長官 田中節夫元長官
(第18代長官:2000年1月11日~2002年8月1日)
警察に入ったのは?
京都府警
日本一若い警察署長
交通事故の減少
沖縄の通行方法の変更
法律の改正
警察改革
1993年と1995年に起こったこと
國松先輩と狙撃事件
警察官は現場で育つ
警察のあり方を考える
◎犯罪被害者の支援を始めた男 國松孝次元長官
(第16代長官:1994年7月12日~1997年3月30日)
警察庁の役割
剣道部の先輩
見習い
執行力があった時代
本富士警察署勤務時代、そして三島事件
秦野警視総監
三島由紀夫事件
土田邸小包爆発事件、あさま山荘事件
兵庫県警本部長
暴力団対策法、ドーベルマン刑事との交流
オウム事件と狙撃事件
狙撃
警察庁長官だけの仕事とは
第六章 警視総監が見た警察庁長官
◎野田健 元警視総監
(第82代警視総監:1999年8月26日~2002年8月1日)
捜査二課と贈収賄事件
縁故地と警察幹部の特質
人事のプロ
内閣危機管理官
危機管理監のやること
阪神・淡路大震災は大きな節目だった
内閣官房
災害ボランティア
警察庁長官だけがやる仕事
おわりに 長官の資質について
ふたつの資質
公的セクターの力を元に戻すには組織の統廃合を進めることから始める
重複した組織はいらない。
力点を置くこと
警察庁長官の資質