2020年9月、韓国最大の元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協)の前理事長・尹美香(ユンミヒャン)氏が韓国検察当局により補助金管理法違反や詐欺、業務上横領など8つの罪で在宅起訴された寄付金流用事件を中心に検証したノンフィクション。元・東亜日報大記者を務めた著者が関係者の証言や起訴内容などを丹念に調べ、韓国社会で「聖域」とされ、メディアの批判の対象から外れされてきた支援団体の「実像」に切り込んだ話題作。待望の邦訳。
【目次】
日本語版の出版にあたって
内部監視者としての記録
出版にあたって
記事で彩るステンドグラス
プロローグ
尹美香事件と文喜相法案、法と感情の間
第1章 尹美香・慰安婦・大統領
第2章 慰安婦合意と和解・癒やし財団
第3章 強制徴用問題と文喜相法案
エピローグ 被害者の品格
【プロフィール】
著・沈揆先(シム・ギュソン)/1956年、韓国・京畿道安城生まれ。ソウル大学国語教育学科卒業後、83年に保守系大手新聞社である東亜日報入社。東京特派員、編集局長、論説室長、大記者などを歴任したのち、2017年に退社。15年の韓日慰安婦合意に基づき発足した「和解・癒やし財団」の理事も務めた。現在はソウル大の日本研究所客員研究員。著書に『日本を書く』、『朝鮮通信使 韓国の中の今日』(ともに2017年)、『ジャパンウォチャー― 誰が日本を見ているのか』(2021年、すべて未邦訳)などがある。
訳・箱田哲也(はこだ・てつや)/1988年4月、朝日新聞社入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、97年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、94年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。99年からと2008年からの2度にわたり、ソウルで特派員生活を送った。13年4月より朝日新聞論説委員。