書籍
小説
キッズ・アー・オールライト
The Kids Are Alright
丸山 正樹 著
ISBN:9784022518613
定価:1760円(税込)
発売日:2022年9月7日
四六判並製  272ページ 

NPO法人「子供の家」の代表で、虐待・差別・体罰・貧困といった子供の人権救済活動に関わっている河原はある日、SNS上で〈このままだとあたし おばあちゃんころしちゃうかも〉【NAGOYA JK】というヤングケアラーと思しき書き込みを見つける。
河原は組織を手伝う少女・うさこを通じて発信元の子に連絡を取ろうと試みるが――。
  
また繁華街で「パパ活」などを仕切る半グレ集団に対して睨みを利かせている男・通称シバリはある日、街角で少年たちから襲われていた日系ブラジル人四世の少年・ダヴィを助ける。
彼は日本生まれ日本育ちだが、周囲は彼を「ガイジン」と呼ぶ。「オレはニッケイ。ニホン人でもブラジル人でもない。でもこの国でしか生きられん」日本社会から排除された日系ブラジル人たちが群れ住む団地を訪れたシバリは、ダヴィを学校に行かせるために、グループの男と対決をする――。

そしてそれぞれの人生が交わる時――この国の片隅で確かに生きている、声なき子どもたちの声を聞け。傑作社会派エンタメ小説。

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書店員・読者の皆様から感想を頂きました!


母国ではない肩身の狭さ。言葉や習慣の違いから周りにはなじめず同じ境遇同士で集団行動をするしかなく、稼ぎの少なさを嘆く。悪事に手を染めるのは時間の問題だ。いつの時代にもそのしわ寄せを受ける子どもたち。日本での高齢化による介護問題、ネグレクト、ヤングケアラーに追い込まれる子供たち。 救いの手をつかんでほしい、もう大丈夫だよと。 丸山正樹の作品はいつでもどこでも見守ってくれている安心感があります。

あおい書店富士店 望月美保子さん

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ヤングケアラー、パパ活、半グレ集団、日系外国人問題など現代社会問題が浮き彫りになる中で、決してあきらめず、その闇に立ち向かっていく男性たちの姿に胸が熱くなりました。生きづらい社会で悩み苦しむ少年少女の光の道しるべのような物語。それぞれがたどり着いた結末に、ラストは涙があふれて止まりませんでした。そして読後、タイトルの「キッズ・アー・オールライト」の意味が心に深く沁みました。

紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん

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うさこちゃんのキャラがいい!
どのシーンも、臨場感にあふれている。
一冊の中にいくつもの寄り添いが込められていて、声なき声に光をあてる著者の視点が温かい。

うさぎや矢板店 山田恵理子さん

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みんなそれぞれ事情を抱えながらも一生懸命生きている。外国人労働者のような問題はたくさんあるのだろうけど普段は残念ながらなかなか考える機会がない。こうしてこの本を読むことがきっかけとなり、1人1人が少しずつでも何かが出来たらよいなと思いました。

書泉ブックタワー 飯田和之さん

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人間は不思議な生き物ですね。自分が関心のあるものやことにはよく気がつくのに、興味のないことやものに対しては目には映っていても意識には上ってこないし、見えていることにさえ気がつかないこともあります。常日頃、自分のことだけで精一杯で他のことに目を向ける余裕がないのかもしれませんが、少し淋しい気持ちになります。普通に見えている人たちの中にも大変なことを抱えている人もいるだろうし、いつも笑っている人の中にも実は心の中では泣いている人もいるのかもしれません。周りの人たちに悩みを打ち明けることができず、自分自身の中だけで苦しみを耐え続けている人も少なくないのではないでしょうか?自己責任というワードに皆縛られているのかもしれませんね。当たり前の話ですが、私たち人間は自分が生まれてくる時代や場所や環境、そして両親を選ぶこは叶いません。生まれてきてしまったら、与えられた自分自身のスペックで生きていくしかないのです。文句を言ってみてもその状況が変わることは絶対にあり得ません。ちょっと考えてみても理不尽な話ですよね。私たちは皆、誰かの手をかりて成長してきました。とても自分自身の力だけでは大きくなることは絶対にできません。周りにいる子どもたちも皆そうなのです。私たちが周りから手を差し伸べてもらって大きくなることができたように、周りの子どもたちに対しても手を差し伸べる義務があるのかもしれません。子どもじゃなかった大人なんていないのですから。今まで障害者の目線から作品を描いてきた著者は今回、周りから虐げられている外国人や家族の介護に追われる学生の目線から作品を紡ぎあげました。私たち日本人があまり気にしないことであっても外国人にとっては理不尽なこともあるだろうし、もしかしたらさっきすれ違った学生がもしかしたら家族の介護で苦労しているのかもしれません。
ちゃんと見ているつもりでも見えていない現実もある、そんな当たり前な事実を認識すること。ちょっと想像力を働かせて相手を見てみること。そんな些細なことでも、もしかしたら誰かの役に立つかもしれません。自分や周りの人たちの弱さを受け入れて、真摯に対応するべきではないか、という著者の声が本書から聴こえてきました。
キッズはもちろん『ヒューマン・アー・オールライト』な世の中になってほしいものですね。

恭文堂書店 菅原豪さん

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ヤングケアラーの根深さは、大好きな人を助けたいという純粋な気持ちから始まるところ。最終的に自分の首をしめてしまう時が来ても周りに助けを求めることができないだけでなく、術も知らない。優しい社会には“おせっかいやき”が必要だ。

うさぎやTSUTAYA作新学院前店 丸山由美子さん

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子どもたちは大丈夫。心強く、希望に満ちたこの言葉の、その裏にあるオールライトじゃない現実よ。ヤングケアラー、日本で生まれ育った日系ブラジル人、在留外国人、そして半グレ。裏通りへ、社会の隅へ、日の当たらないところへ、と追いやられていく子どもたち。彼らの声を誰が聞き、彼らの未来を誰が掬い取るのか。
自分の身の回りにもいる彼らに対して、何気なく目をそらしてはいまいか。
そこにいるのにいないものとして通り過ぎてはいないか。元被虐待児で施設出身者である河原の、自分の過去と向き合いながら今目の前にいる子どもたちへそそぐまなざしの真摯さに胸をうたれる。その手から零れ落ちる子どもたちへの無力感が胸に迫る。鳶の親方として働きながらパパ活少女たちの無償窓口となっているシバリ。正しい事ではない。でも正しさだけを押し付けてもそこからはじき出された子どもたちの行く先はもっと暗い世界しかない。自分を闇から救い出してくれた日系ブラジル人との約束を果たすために踏み込んでしまう一歩。その代償と結末。大人の犠牲になるヤングケアラーである少女や、大人たちに搾取され生きるために罪を犯す日系ブラジル人の少年。二人が手を伸ばすのはそんな子どもたち。
愛知県を舞台にしたこの小説は、決してフィクションではない。今、この時も、愛知県の片隅で、いや、日本中のそこかしこで、過去も今も未来も失った子どもたちが絶望の闇に堕ちていく。丸山正樹は徹底して社会的弱者のそばに寄り添い続ける。けれどその姿勢は、優しさや甘さにだけ基づいているわけではない。
どんなにがんばっても変わらないこともある。無力感の中で離す手もある。
そんな現実をありのままにさらけ出す。そして突きつけるのだ、「あなたには何ができますか」と。このタイトルにNOTを加えないために、今、私たちにできることは何なのか、と。

精文館書店中島新町店 久田かおりさん

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まずはこの題名でロック好きの私にとって思い出すのが、「キッズ・アー・オールライト」イギリスのロックバンド、ザ・フーのドキュメンタリー映画であり楽曲でもある。
丸山正樹さんがまたやってしまいました。
ヤングケアラー、日系ブラジル人の居場所やこれらを題材にした社会問題を考えさせられる素晴らしい作品でした。そしてとても印象に残った、河原が悩む言葉に共感しました。「はたして自分は彼らに「将来」を考えさせ、「未来」に希望を抱かせることかできるのだろうか―。「ピアカウンセリング」や「レスパイト」などの専門用語への関心も生まれました。
あなたも読んで共感して下さい。感動して下さい。

くまざわ書店南千住店 鈴木康之さん

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当たり前にあるはずの「人権」を踏みにじられた者たちが生息するやみの世界は「見えない」のではなく「みようとしないだけ」だと丸山先生はこの1冊でその世界を照らす灯をかざしている。

くまざわ書店錦糸町店 阿久津武信さん

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子供の人権に関わるNPOで働く河原は、SNS上で見受ける子供たちのSOSに耳を傾けている。そんな中気になる呟きを見つけ…
移民2世・3世、ネグレクト、ヤングケアラー、援助交際などと子供たちを取り巻く問題で、小さくとも確実にある微かな声を拾い上げ寄り添おうとする姿は心温まると同時に、コロナ等でこれからも確実に増えることが予想されることを突きつけ、無関心・無知である自分を含めた大多数の大人を優しくも厳しく叱責してくれているようだ。
強かにも生き延びようともがく若者たち、周囲の人々の力強さ・優しさに安堵するとともに、無知・無関心ではいられなくなってしまう良作。

明林堂書店南宮崎店 河野邦広さん

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当在留外国人の子供の不就学って少し知ってはいたけど思ってた以上にものすごく過酷だった。
生死がかかっているこんな境遇にいる子供達に手を差し伸べる大人たちが必要で、自分には何が出来るのかを考えさせられるお話でした。

コメリ書房鈴鹿店 森田洋子さん

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ネグレクトだとかヤングケアラーだとか言葉の意味は知っているがどうにもピンと来ないことも多いだろう。自分がそれに該当してもしなくても、声を上げることも手を差し伸べることにもとてもハードルは高く感じる。この作品を読んで、その一歩目になるのであればきっとその何十倍もの還元に繋がることのように思う。そしてすべての子どもたちに「大丈夫」という言葉と全ての権利とその先に目映い光があることを知ってもらいたい。

ティーブックセラーズ 渡邉 森夫さん

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今の日本が見て見ぬふりをしている問題がギュッとつまっていて、これはフィクションだけど現実だ、と感じさせられました。
最後の一文は、本当にそうだと胸にリアルに言葉を刺されたようでした。

岩瀬書店 富久山店 吉田彩乃さん

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見えなかったものに気付くきっかけを、私にもできることが在るのではないかと考える力をこの本がくれる。話を聞いてもらえること。誰かの役に立てる自分になること。自信を持てる大切さ、わかっているようでわかっていなかった。人を救うのは神様ではない、人なのだと、私たちなのだと、自分の目の前の現実と戦う彼らの力になりたいと思った。

あおい書店富士店 鈴木裕里さん

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子供にはどうしようもないことがある。これは事実。手を差し伸べるはずの、守れるはずの大人が、ちゃんと考えなければならない。どんな時代になろうと、学校で、家で、外で子供は何の心配もせずに笑っていてほしい。私は高校までは、好きなことや楽しいことをたくさん見つける時間だと思っている。それを認めてもらえた気がしてとても心強く感じた。そして、どこの国の生まれだろうと同じ人間。見た目や言葉がずいぶんと違うと大きな不安も感じるが、忘れずにいようと思った。

福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん

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ヤングケアラーという言葉に違和感を持っている。もちろん、問題としてとらえ、解決策を考えるときラベルは必要だ。しかしケアの多様さとその境界線の複雑さを思うとわかりやすくしてしまうことへの抵抗感がある。その違和感を拾い上げてくれるのがこの小説だ。子供を救うと同時に親を責めすぎない、という言葉に同感だ。親もまた追い詰められているのであるから、ほんの少しの手助けがあれば「子供たちは大丈夫」という希望が伝わってくる。

平安堂長野店 清水末子さん

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自分が知っていた現実というもののあまりの狭さに愕然としました。子供が子供でいられる時間をおとなは全力で守らなければならないし、それには国籍など関係ないのだと強く思いました。読む前にはわからなかったタイトルのもつ意味が読んだ後に、ぐっときてたまりません。

紀伊國屋書店鶴見大学ブックセンター 伊勢川詩織さん

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「問題なのは、自分たち大人のほうなのだ―。」まさに、それ!だ。そして、いずれ子どもは大人になる。その時に何を思い、どう動くのか。ネグレクトにヤングケアラー。日経ブラジル人。それぞれがそれぞれの問題を抱えて生きている。河原さんの「子どもの家」。こんな施設が全国あっちこっちにあったなら、と丸山先生の作品を読むたびに思う。人を支えるのは人なんだ。自分も、人に寄り添える人でありたい、と。人は1人では生きられない。誰かがいてくれるから、自分も頑張れる。そんな思いが自然と湧き上がる。「その子にはその子の現実があって、自分の現実と戦ってるんだから」ついつい目の前に居ない誰かと比べてしまうけど、「そうではない」という事を明確にしてくれたあおいさんの言葉。その子の現実はその子のもの。他の子の現実では、ない。簡単なようで、分けて考える事が難しく、無意識の内に比較してしまう自分がいる。この思考から離れなければ。丸山先生の作品、毎回学びがある。

文真堂書店ビバモール本庄店 山本智子さん

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「ヤングケアラー」と呼ばれている子供たちがいることを知っていますか?
「そんなはずはない」「ありえない」と窮地に立たされた彼らから目をそらしていませんか?「キッズ・アー・オールライト」はフィクションではありません。ぜひ読まれるべき小説です。

明林堂書店フジ西宇部店 田中由紀さん

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親による身体的虐待やネグレクトを受けた子供達
親が祖国に帰る選択をしに残された子供達
ヤングケアラーになり他の事が手に付かない子供達
共通するのは子供が子供である時に
当たり前に与えられてきた
子供である事が許される時間
を与えてもらえていない事。
統計やニュースで知る事も大事なのですが
この様に共通点を指摘され
ハッと心に刺さるものがありました。
物語の強みを実感でき
行動に繋がるまでの伴奏者の役割を
担ってくれそうです。

NetGalleyより レビュアー

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ネットに書き込まれた衝撃的な言葉、それに気づいたNPO法人とうさこ、そしてシバリが抱える闇。ヤングケアラーと在留外国人をテーマとした、現代社会の持つ問題が描かれています。ヤングケアラーの真澄と接することによって、うさこが自分の人生と向き合い前へと踏み出す姿が良かったです。

NetGalleyより レビュアー

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在留外国人の子供で、外見の偏見や言葉の問題からいじめられ、普通に遊び学ぶ事が出来ない子供達。

ヤングケアラーと呼ばれ、本来は大人が担うと想定されている家事や家族の世話に忙殺され、学業が疎かになっている子供達。

これらがテーマだと、悲しみや感動やの押し売り感のある物語になりそうだが違かった。

少し反社会的ダークな部分にまで入り込み、生死をかけたハラハラドキドキさせるエンタメ作品に仕上がっている。

読み終わった今、まずは大人がこの様な境遇の子供達が大勢いることに関心を持つ事が大事なのだと思った。そのうえで、自分に何が出来るかを真剣に考えると同時に、子供達の声をきちんと全部聞いてあげる事が必要なのかと。
そのきっかけを作ってくれる刺激的ながらも作者の想いが詰まったストーリーだった。

あと、うさこと真澄の非常に良い関係性も見どころ。

NetGalleyより レビュアー

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NPO「子供の家」代表の河原、
シバリとうさこが、主要人物なので、
『漂う子』を再読してから読ませて頂きました。

『漂う子』が未読でも分かるように描かれていますが、『漂う子』から読めば、彼らの背景が深くわかり、更に物語に入り込みやすいです。

「漂う子」は居所不明児童を探す中で、主人公や読み手に、親子とは?親になるとは?を深く問われる物語でした。

本作は、居場所を奪われた子供達はどんな事を考え、どうなっていく可能性が高いのか、大人は何が出来るのか、を、考えさせられる作品でした。

コロナ禍になって1年以上が過ぎ、
需要と供給のバランスが崩れ、
人々はその中でどうやって生き残れば良いのか模索している。
特に親や社会の庇護を受けられない人々-、
そしてそこに付け入る反社会的な人-。

その代表格として、
ヤングケアラーの少女と、
日本で生まれ日本で育ったのに「ガイジン」と呼ばれ社会からはじき出される日系4世の少年が描かれています。

2人の姿を通して、そこに見え隠れする一筋縄ではいかない問題点を突きつけられていきます。

丸山正樹さんらしい、
真っ直ぐな目線で、
これらの社会問題に向き合った作品。

この作品を読むと、
様々な用語や考え方を知る事が出来ます。

子供が子供らしく生きられない社会…、
「責任」はどこにあるのか。
河原達だけに任せずに、
この作品を読んだ私達1人ひとりが、
これらの問題に取り組む必要があると
強く感じました。

NetGalleyより レビュアー

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日系ブラジル人の子で“ガイジン”と言われ、
日本で生まれ日本で育ったのに孤立する子どもたち。

両親は仕事で多忙のため、
祖母の介護をするため学校へ通えなくなった高校生。

家庭内で居場所がなく、
自分で稼ぐしかない子どもたち。

そこに入り込む半グレや犯罪。

作中の子たちには、
手を差し伸べる人たちがいて、
自分たちを見つめ直す機会を得られたけど、
今の社会ではまだまだ手が届かない子たちも多いんだと思う。

大人たちが自分たちの都合のいいように言い訳して、
子どもたちから自分というものを知り将来を考える時期を奪ってしまっていないか、
ハッとした。

NetGalleyより レビュアー

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ヤングケアラー、虐待される子どもたち、日系ブラジル人の子どもたち。
彼らが発する声を聞いた時何が出来るだろう。

コロナ禍で居場所がなくなり、自分をすり減らす子どもたち。作品の中で登場するハッシュタグ #神待ち 検索したらSNS上には多くの子どもたちがこのハッシュタグを使っている。こんなにも自分をすり減らす行為が簡単に行われているのかと改めて驚く。ただそんなに簡単に自分をすり減らさないでと願うばかりだ。

子供たちに何が出来るのだろうと読みながら考えてみた。しかし具体的に何も思い浮かばない。
でも子どもらしい時代を過させてあげられていない子どもたちがいる事を忘れずにいたい。
子どもたちの声を聞き続け、社会的な弱い立場にいる人たちを描くこの作品を心に留めておこうと思う。そして『漂う子』も読んでみたいと思った。

NetGalleyより レビュアー

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日系ブラジル人、ヤングケアラー、ストリートチルドレン、貧困、半グレ、パパ活など、現代社会が抱える問題が盛りだくさんなのにゴチャッとせずに、全ての情報が過不足なく収まるべきところに収められていてとても読みやすかった。

丸山先生のお書きになる物語は、情緒的過ぎるということもなければ、説明的になり過ぎることもなく、教訓めいてもいない。それでいてメッセージが弱まることもない。

普段の生活では見えないもの、見ようとしてこなかったもの、見ても分からなかったもの、分かったつもりになっていたもの、そういった事柄にしっかりと目を向けさせてくれ、知識を得たり考えたりする機会を与えてくれる。

知らないもの=ないもの
と自動的に思ってしまう自分は、もうこの辺で捨ててゆきたい。

NetGalleyより レビュアー

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デフヴォイスシリーズでお馴染みの丸山正樹さんの作品。大好きな作家さん。
漂う子のセカンドシーズンという感じ。
「漂う子」は読んだのがだいぶ前だったので登場人物やストーリーは少し抜け落ちていたけれど、
『血はもうとっくに入れ替わった。今の俺は、細胞から全部俺のもんだ。』のセリフにピンときました。
今回のテーマは『ヤングケアラーと日系在日外国人』。
今やニュースで明らかになってきたからこそ知ることが出来ているけれど、明るみに出るのはほんのひと握りでまだまだ苦しんでいる人が多いのも事実。
丸山さんの作品は細かいところまで調べてあるのが伝わってきますが、それでも説明臭くならずスッと入ってくるところが特徴だと思います。

NetGalleyより レビュアー

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