法蓮房は国盗りの大望を秘めて美濃を目指し、土岐家内でのし上がる。
野望を受け継いだ2代はついに美濃国を奪取し、斎藤道三を名乗る。
親子2代にわたる国盗りの大いなる武器「国滅ぼし」とは? その真実に行き着いた3代目の義龍の決断とは――
従来の戦国史を根底から覆す瞠目の長篇時代小説
弘治二年(一五五六)、四月二十日――
国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。
美濃の地においてである。
奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。
まむしと恐れられた斎藤道三である。
国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。
より正確を期すなら、道三とその父親である。
道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。
無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。
道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。
いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。
国滅ぼし――と。