東京近郊の貧しい小作農の5代目に生まれた。将来の夢など何もなかったが、定時制高校で恩師の薫陶を受けてサークル活動に打ち込み、社会問題に目覚めた。サラリーマンになろうと就職試験に臨むも、「転勤は嫌」とためらうことなく答えて不合格。おじさんの勧めで農協に入ると貯金集めに駆け回った。山登りや旅行を愛し、請われて様々な活動に関わった。農業を続けながら腰痛に悩む背曲がりジジイになった今、多くの人とのご縁に感謝しながら、過ぎ去った日々を振り返る。自分は、この世には必要のない人間だったのだろうとつぶやく著者は、羅針盤のない人生で精一杯自分らしさを貫いてきた。