幕末に生まれて94年。無類の植物学者、牧野富太郎が生涯を懸けて進めた研究は、分類学と呼ばれる、多様性を可視化させる研究だ。多種多様な植物が地球上に生息することを知らしめ、物言わぬ命の豊饒さを書物に残したその存在を、植物分類学の第一人者が悠々たる筆致で照らす書き下ろし。2023年度NHK連続テレビ小説「らんまん」モデルを知るための絶好の書!
第1章 牧野富太郎の誕生
誕生日が諸説ある身上/天涯孤独の一人っ子/乳母の生家での原体験/「義校」名教館で深めた学び/『本草綱目啓蒙』との邂逅 etc.
第2章 植物学開眼
生物の「多様性」を発見/頼もしきは友なり/図解を重んじる植物学へ/若旦那初の上京 /寝る間も惜しんで標本作り etc.
第3章 疾風怒濤の植物愛
郷里を捨て、岸屋を捨て/青長屋で三博士と出会う/矢田部宣言の明と暗/幻と消えたロシア行き/東京帝国大学助手に就く etc.
第4章 比類なき富太郎の植物画
精神の融合としての画作/画作以前の植物愛/完成度の高い植物画/サクラを描き、サクラで埋めよ etc.
第5章 植物愛が結実した出会い
植物の愛好家たちとの交流/何百人もの生徒を得る植物博士/『植物学講義』発刊
『植物研究雑誌』創刊 etc.
第6章 植物と心中する博士
父母におわびのよいみやげ/東京大学を辞職する/「図鑑のマキノ」の膾炙/名付け親の植物愛 etc.
終章 姿が見えない真の牧野富太郎
『牧野富太郎自叙伝』は事実か否か/魅了された愛好家たち/博士を支えた博士たち etc.