精神科医で小説家の著者が50年にわたって読みこんだ『源氏物語』。名作を底支えしている、300以上もの心の言葉から、紫式部のネガティブ・ケイパビリティに注目、その創作視点に迫る。
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精神科医で小説家の著者が、50年にわたって読みこんできた『源氏物語』。この長大な名作が、千年の時を読みつがれてきた秘密とは何か。
全54帖を通して繰り返される別離と死別の様相。主な25人の女君たちの生き方、人生観の違いを「心表現」でどのように描きわけたのか。
さらに藤壺宮をめぐる光源氏と桐壺帝のように、恋に挑む7つの「三角関係」に複雑な心の道筋を追う。本居宣長、小林秀雄の『源氏物語』への洞察を礎に、短篇『源氏の君の最後の恋』を書いたユルスナールにつなげる独自な文学地図を示し、微細で多様な心の言葉から大作に向かう道筋を解きあかす。
紫式部の「ネガティブ・ケイパビリティ」を丹念に探り当てた、真新しい視点による『源氏物語』の最良の手引書。
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紫式部が「こころ」をとらえる基本のことば 本居宣長が紫式部にみた恋の道、「物のあはれ」 本居宣長から小林秀雄へ 源氏物語54帖のあらすじ、別離と死別 こころの不安と迷い/「心の鬼」とは何か 主な女君たち二十五人の心 光源氏の恋挑みと心 文化・風俗の中の心(碁と双六、琴、蹴鞠……) 四十七帖「総角」は紫式部の最高到達点 (「目次」から)