ある日、著者のもとに植物学者から共同研究への誘いの手紙が届いた。全国の巨樹イチョウを調べているが、中国・朝鮮半島から日本に渡来した時期を科学的な根拠によって明かしたい、歴史研究者のあなたの協力を得たい、という。
植物学者の圧倒的な熱意に衝き動かされた著者は、ここからイチョウの史料調査に正面から取り組む。記録、古文書などイチョウに関するあらゆる文献を求めて全国を歩くなか、ある郷土史家が残した一冊の本に出会う。
そこには江戸中期、将軍吉宗が引き起こした美作国・菩提寺のイチョウにまつわる村の大事件が記されていた。イチョウ関係でこれほどの古文書は世界を探しても他にないだろう。それはどんなイチョウか。また稀有な資料を書き写した郷土史家とは。歴史研究者が綴るあくなき史料探求の道。