国会前デモなど大論争を巻き起こした安保法制の成立から10年。
原告約7700人、約1700人の弁護団による安保法制違憲訴訟は、全国22の地裁や支部で25件起こされた。
結果は“全敗”だが、唯一の憲法判断に踏み込んだ仙台高裁判決には重要な論理が隠されている。
それをどう組み立てれば、集団的自衛権の行使が実は不可能だと言えるのか。古来、用いられた「書く技法」によって記された、深層の論理は、いかに読まれるべきか。判決という「戦略的文書」を遺して急逝した仙台高裁裁判長の真意とは何か。
2023年、東京高裁と仙台高裁で二度証言した長谷部教授と、それらの尋問を担当した棚橋弁護士、そして司法分野・憲法問題の取材を重ねてきた朝日新聞の豊編集委員が読み解く。