過察する脳
察しすぎる“生きづらさ”を脳科学でひもとく
毛内 拡 著
ISBN:9784022953834
定価:1100円(税込)
発売日:2026年10月13日
新書判並製  288ページ  新書1080 

■序章 感情を読み合う脳―なぜ「エモい」は人を惹きつけるのか
1.「エモい」は“匂い”のようなもの?
2.SNSの通知音は“サバンナ”の合図?
3.“泣ける映画ランキング”が作る社会的涙腺同期
4.縄文人の“共感の祭り”と現代のSNSトレンド
5.「エモい」は、他人の感情を“再生”する脳の働き
6.「脳の演出家」扁桃体は、無意識の編集者である
7.「共感の脊髄反射」は哺乳類だけの特権か?
8.言葉を発した瞬間、脳は“孤独”を知る
9.“いいね”を押す前に起きている無意識の身体反応
10.私たちの“エモさ”は、文明の摩擦熱のようなもの
■第1章 感情を先取る脳―「エモい」脳の正体
1.心拍が先に変わり、脳が理由を後づけする
2.“直感”の正体は、身体が先に拾った危険信号?
3.“鳥肌が立つ”は、進化上の“社会的サイン”だった
4.脳は世界をそのまま見ず、不要な選択肢を間引く
5.扁桃体は言葉の外側を読んでいる
6.ホラー映画の“恐怖快感”は脳の二重奏
7.AIが予測しているのは、「感情」ではなく身体喚起の表出である
8.「エモいね」と言い合うとき、身体喚起は部分的に共有される 
9.心拍のゆらぎは、“ドキドキ”に物語を与える
10.情動は、“生存に必要な勘違い”の集積である
■第2章 感情の解像度が失われる時代―言葉を失った脳
1.「エモ語」が世界を単純化する
2.「エモい」は平安の残響語だった?
3.感情の脳内表現を言葉が変える
4.感情語が減ると、脳の解像度が下がる
5.言葉の貧困が他者理解の余白を狭める
6.“エモい”は安全確認の合図だった?
7.子どもの「口ぐせ」は脳の発達地図である
8.AI翻訳が消してしまう“心のゆらぎ”
9.「エモ語社会」では、議論の解像度が下がる
10.言葉を取り戻すとは、感じる力を取り戻すこと
■第3章 予測脳疲労―未来を読みすぎた臓器
1.人間だけが“未来の自分”に共感できる動物
2.考えすぎは、未来予測の空回りである
3.通知音は“小さな地震”として脳を揺らしている
4.「FOMO」は群れから外れる恐怖の再演
5.フェイクニュースは脳の“省エネ防衛策”だった
6.“先回りする脳”が起こす予測誤差の暴走
7.「今ここ」にいることが、脳にはいちばん難しい
8.“未来を読む”ことは、希望と不安を同時に増幅する
9.予測を手放すことも、知性である
10.未来を読みすぎた脳が、再び“今”を学び直す
■第4章 過察という社会的適応―感じすぎる脳の進化
1.「過察」と「ガサツ」は同じ神経軸の両端にある
2.アストロサイトは、感じすぎる脳の環境を支えている
3.空気を読み続けた脳には、眠る時間が必要である
4.「孤独」と「過察」は、社会脳の表裏かもしれない
5.“空気を読む”文化の神経コスト
6.過察型社会には、情動を逃がす仕組みが必要だった
7.共感疲労は、他人の痛みをなぞりすぎることで起こる
8.“感じること”を恐れた文明
9.「優しさ」を保ちながら鈍くなるという技術
10.過察は、未来の人間性を支える感受性かもしれない
■第5章 感情を再編集する―回復する臓器としての脳
1.脳は「治る」のではなく、「学び直す」臓器である
2.新奇体験と情動喚起は、脳を学び直しやすい状態にする
3.“旅する脳”は、海馬を再び動かす
4.読書は“他人の神経”に触れる訓練
5.芸術鑑賞は“反応の時間差”を取り戻す儀式
6.安全地帯を少し出ることが、脳をしなやかにする
7.肩書きを外せる場が、社会脳を回復させる
8.「違う人」と関わることが、脳の物語を更新する
9.恒常的無常 変わり続けることが安定である
10.脳は臓器であり、物語を編み直す

【著者】もうない・ひろむ
お茶の水女子大学ヒューマンライフサイエンス研究所助教。1984年、北海道函館市生まれ。2008年東京薬科大学生命科学部卒業、2013年東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、理化学研究所脳科学総合研究センター研究員等を経て、2018年3月よりお茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教。2026年4月より現職。専門は神経生理学・生物物理学。「脳が生きているとはどういうことか」をテーマに、基礎研究と医学研究をつなぐ研究に取り組む。著書は『脳を司る「脳」』(講談社ブルーバックス、第37回講談社科学出版賞受賞)ほか多数

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