明治天皇誕生から維新にいたる近代日本の夜明けを描いた傑作史伝第9巻(全10巻)。王政復古後の混沌、新政府による廃仏毀釈や長崎切支丹の沙汰などを描いた「新政の府」[旅」「武士の城」を収録。巻末にわかりやすい注解・索引、地域別年表および本巻関係参照図を掲載。
東大法学部、外務省嘱託を経て作家生活に入った大佛次郎(1897-1973)は、『ドレフュス事件』『パリ燃ゆ』などの外国を舞台にした史伝、『鞍馬天狗』シリーズなどのエンターテインメント、『帰郷』などの現代小説、『赤穂浪士』などの時代小説など、幅広い分野で活躍した、戦前戦後の日本を代表する作家、知識人だった。
『天皇の世紀』は、豊富な資料をもとに、幕末・明治維新を細大漏らさず描く大河史伝。朝日新聞での1967年からの連載開始とともに、大きな反響を呼んだが、惜しくも、著者・大佛次郎の死によって、未完に終わった。とはいえ、連載回数1500余回に及ぶ発表分は、明治天皇の誕生から、江戸落城までを描く、記念碑的大作である。文庫版が品切れとなっているため、なかなか手に入りにくい状態がつづき、新たな出版を求める声が高まっていた。そこで、今回、新たに「普及版」を出版することになった。索引なども充実した、得難いシリーズである。