手作りの布の持つちからとは何か?
アジア文化の中で、手作りの布はどのように作られ、流通し、愛されてきたのか?
喜多川歌麿が春画で描いた腰巻きや下帯、新撰組の衣装、ガンディーのまとった手織布、バリの儀礼用絣グリンシン、日本の着物の生命樹柄……。江戸から現在へ――布が結んだ人々の暮らしと心と歴史を、人気江戸学者である法政大学総長が縦横無尽に論じる快著。館山唐桟、こぎん、芭蕉布などの職人を訪ねたテキスタイル紀行も収録。カラー口絵8頁。
2011年、公益信託長銀国際ライブラリー基金の対象著作に選定され、2013年に“The Power of the Weave: The Hidden Meanings of Cloth”のタイトルで英訳出版された。
<目次より>
Ⅰ 布をまとう
メディアとしての布
布が意味するもの
子宮
手――インドの場合
「手」仕事の光と影
皮膚と布 皮膚その1
襞 皮膚その2
ドレイプリー 皮膚その3
生命樹の布に見る背骨――時間と自然
運命を織る
包む
断片
袋
巻く
結ぶ、解く
帯
襤褸
Ⅱ 織るということ
日本の織物紀行
館山唐桟――東南アジアから来た織物
久米島紬――琉球絣の今
芭蕉布――織り込まれた沖縄近代史
花織――ブータンにつながる織物手法
こぎん――津軽の農村刺しゅうは江戸から現在