「五」足す「二」で「しち」。「五二屋」とは質屋のこと。
黒船来航に揺れる幕末の江戸深川──。質屋「伊勢屋」のあるじ・傳蔵のもとには、夫を亡くし心底困っている母と子、盗品を持ち込む輩、そして店を狙う盗賊までも訪れる。「客の人生まで預かるのが質屋稼業」を信条に、傳蔵は鋭い眼力と深い情で、ときに厳しく、ときに優しく店を訪れた客を迎え、町の人々からも一目置かれている。しかしそんな「伊勢屋」を切れ者の盗賊頭・龍牙が狙っていた。
傳蔵と龍牙、粋な男たちの侠気と知恵がぶつかり合う、謎と興奮と江戸人情あふれた長篇時代小説!