第3回日本医療小説大賞受賞作!
2人に1人ががんになる時代の必読書
現役の医師であり作家でもある著者が、満を持して取り組んだ「悪い医者とは?」をテーマに問いかける、感動の医療長編小説。
がん治療の拠点病院で、52歳の胃がん患者の小仲辰郎はがんが再発したあと、外科医の森川良生医師より「これ以上、治療の余地がありません」と告げられた。「私にすれば、死ねといわれたのも同然」と、小仲は衝撃のあまり診察室を飛び出す。小仲は大学病院でのセカンドオピニオンを断られ、抗がん剤を専門とする腫瘍内科、免疫細胞療法のクリニック、そしてホスピスへ。それぞれの場所で小仲はどんな医師と出会うのか。
一方、森川は現在の医療体制のもと、患者同士のいさかい、診療での「えこひいき」問題などに忙殺されるなか、診療を中断した小仲のことを忘れることができず、末期がん患者にどのように対したらよいのか思い悩む日々がつづく。
患者と医師の間の溝ははたして埋められるのか。
がん治療に対する医師の本音と患者の希望は軋轢を生み、物語は運命のラストへと向かう。
ひくにひけない命という一線をめぐり、患者と医師双方の切迫した事情が迫真のドラマを生み出す問題作。