僅かな月日でも好きなように生きられたら――。
北町奉行所同心の夫・霜降三太夫を卒中で亡くしたうめは、それまでの堅苦しい武家の生活から抜け出して独り暮らしを始める。醤油問屋「伏見屋」の長女として生まれたうめは、“合点、承知”が口癖のきっぷのいい性格。気ままな独り暮らしを楽しもうとしていた矢先、甥っ子・鉄平に隠し子がいることが露見、大騒動となりうめは鉄平のためにひと肌脱ぐことを決意するが・・・・・・。
笑って泣いて――人生の哀歓、夫婦の情愛、家族の絆が描かれる宇江佐文学の最高傑作!
朝日新聞に連載された著者の遺作にして最後の長編時代小説が待望の文庫化。