昭和24年の刊行以来300万部近く売れた戦没学徒の遺稿集である『きけわだつみのこえ』。この感動の書が、改ざんされ、政治利用されたことはあまり知られていない。 学徒たちの右翼的表現や戦争謳歌が削除され、遺族の編集意図からかけ離れた不当な改ざんが行われていった。それはなぜか。 東西冷戦や「わだつみ会」の内部紛争のなかで、国民的遺産ともいえるこの書はいかに踏みにじられていったのか。戦後の反戦運動の行き過ぎた一面を浮かび上がらせる、昭和史研究の第一人者の隠れた名著。
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