文藝賞受賞から10年、「その後の結婚小説」という新境地!
結婚、離婚、非婚、事実婚を問いかける本格長編小説。
多くの恋愛小説が書かないその先を見つめる‥‥
離婚に踏み切れない作曲家の妻・梓の微妙な気持ちの揺れと、結婚のメリットを探しながら生活を淡々と営む専業主婦・百合子のたくましさが、絡み合いながらビビッドに描かれていく。ストーリー展開は静かながら、そのリアルさゆえに読み手を飽きさせない。誰がどこで「愛という名の切り札」を使うのか、果たして愛は切り札になるのか、がこの小説の読みどころの一つである。
非婚を選ぶ娘・香奈と、事実婚で進む若い作曲家・理比人の生き方にも説得力があり、結婚の形がこの先どう変わっていくのか、余韻を残すエンディングも魅力。
◯愛という名の切り札 目次
1 おかあさんさあ、結婚してなにかいいことあった?
2 どうして結婚するとしあわせになれると信じていたのだろう、なんの根拠もなく
3 いちばんきれいだったとき、なにをしていましたか?
4 もう一度生き直したいんだ、と彼は言った
5 多く愛した方が負ける。それが結婚というゲームのルールです
6 一人で生きる。それもいい。二人で生きる。それもいい。
その二つをかなえるのが新しい結婚になるはずだ