長寿社会という「最先端」の時代を生きる私たちに、道しるべとなる「老衰介護看取り小説」の誕生!
老い、病、死にちかづくこと。じつはたっぷりした意味がある!
中島京子さん推薦!
老いとの闘い。死支度。「死下手」の一茶の俳句が、認知症のお父さんを支える。
家族のじたばた、いらだち、せつなさも、どこか飄々とした俳諧のようだ。
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元中学教師の恭輔は80代後半には認知症になり、骨折をきっかけに4年前からは在宅介護を受ける身の上だ。通称「かんたき」看護小規模多機能型居宅介護の看護師、介護士が自宅でのサポートをしているが、妻にとっては老老介護、かかわる子どもたちも還暦前後でらくではない。
オムツとトイレの大惨事、認知症の薬などを試みるが、次第に出来なくなってくることが増えていく。万一の場合には救急車をどうする?
96歳で息をひきとるまでの20日間、家族や介護者はどのように備えるのか。誰にとってもひとしく迎える最期はどのようなものなのか。死ぬときはどうなるのか。
そしてその日は信じられないほど「あっさりと」やってきたのだ。
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老いや死も庶民の視線で、見捨てない温かさに満ちた、一茶の句が老境の恭輔を、そして周囲の人々を励まし続ける。
自分ごととして必ず来る老い、病、死をやわらかく問いかける、先を照らす小説。
目次から
一 三度目の危篤 二 トイレ地獄 三 先生と呼ばれて 四 みんな先に死んでいく 五 何もできない 六 ついのすみか 七 思い出の中の人
八 この世とのつながり 九 死ぬのにもってこいの日 一〇 その朝は、あっさりと