がん治療の医師として、自らもがんサバイバーとして、がんで妻を亡くした遺族として、あらゆるがんの局面を知る著者は、これまで全国各地を訪れてがん経験者、がんで親族を亡くした人々を励ましてきた。 2023年3月、青森県八戸から福島県相馬まで、延べ1000キロ踏破の旅に出た。80歳を超えた著者が最後のウォークとしてこの地を選んだのは、「がんで足をすくわれた人、津波で足をすくわれた人は同じではないか?」という思いからだった。 旅を始めようとした矢先、思いがけず、ドキュメンタリー映画を撮らせてほしいとの連絡が入った。三陸海岸沿いのトレイルを一歩ずつたどる旅。各地で出会った被災者、がんサバイバーから生きる力をもらったという著者。震災から12年を経てなお、各地に残る震災の爪跡や復興途上の姿に何を感じたか。詳細な記録と率直な思いにあふれた旅の記録から、人間のレジリエンス力を感じ取る。 高齢者が自宅で実践できる著者のトレーニング法など単身老後の日々の備えも明かす。