虐待と貧困の連鎖から逃れた少年
私たちはまだ、彼の苦しみを何も知らない
小学校に通わせてもらえず、食事もままならない生活を送る優真。
母親の亜紀は子供を放置し、同棲相手の男に媚びてばかりだ。
最悪な環境のなか、優真への虐待を疑い手を差し伸べるコンビニ店主が現れる。
社会の分断を体現する少年の魂はどこに向かうのか。
社会に蔓延するバイアスを打ち砕く圧倒的リアリズム!
解説・杉山春(ルポライター)
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子どもの虐待死は、社会により弱者にさせられた者による暴力の発露がもたらすものだ。
弱者は暴力を振るわなければ生き延びられないところまで追い詰められている。社会と弱者はどのように出会えば良いのか。私たちの社会はまだそれを知らない。(「解説」より)