ハーバード大学で初めて、メンタルケアに栄養学的アプローチを採用して、驚くべき成果を上げてきた精神科医の著者。鬱病や発達障害、認知症などの症状を食事法で改善させた、20年に及ぶ経験に基づき、脳を健康に保つ食事を探る。野菜やヨーグルトや大豆は体に良いといった「定説」の根拠となる研究を紐解き、矛盾と誤解を指摘。脳に効くレシピも提案。
■目次
第1部 ブレインフード再考
[第1章] メンタルヘルス上の問題を引き起こすのは何か?
[第2章] 希望の新科学
[第3章] ほとんどの栄養指針がまちがっている理由
[第4章] 脳の見学ツアー
[第5章] 脳代謝のマジック
第2部 食の狂騒
[第6章] 加工食品の危険―炎症と酸化ストレス
[第7章] 代謝の大混乱―目に見えないホルモンのジェットコースター
[第8章] インスリン抵抗性―脳の寡黙な敵
[第9章] メンタルヘルスにとって有望なケトン食
第3部 自然食品の真実
[第10章] 肉―元祖「スーパーフード」
[第11章] 卵と乳製品―天然の成長用栄養剤
[第12章] 穀物、豆、木の実、種子―消費者は気をつけて
[第13章] 果物と野菜―敵と味方を見分ける
[第14章] スーパーフード、サプリメント、抗酸化物質の神話
[第15章] 植物ベースの脳―危険を冒す
第4部 希望はメニューに
[第16章] 静かな食事アプローチ
[第17章] 静かなパレオ食
[第18章] 静かなケトン食
[第19章] 静かな肉食
[第20章] きっとできる! 実用的なヒントとFAQ
[第21章] 献立とレシピ
■著者/ジョージア・イード Georgia Ede, MD
ハーバード大学で研鑽を積んだ栄養・代謝精神医学を専門とする精神科医。医学部進学前はボストンのジョスリン糖尿病センター、ミュンヘンの糖尿病研究所ほか生化学、免疫学、および代謝分野の学術研究所に勤務。20年にわたる精神科の臨床経験があり、そのうち12年間はスミス・カレッジおよびハーバード大学診療所でメンタルヘルス専門家として学生を診療。精神科薬に代わるものとして初めて、栄養学にもとづく治療を提案した。『サイコロジー・トゥデイ』誌および自身のウェブサイト「Diagnosis:Diet」に食品と脳に関する記事を執筆するほか、栄養科学、栄養政策改革および精神疾患への栄養的アプローチについて、世界を舞台に10年以上講演を続けている。マサチューセッツを本拠地とする個人開業医として、世界中の患者や同僚の相談に応じている。ケトン食などの栄養学にもとづく介入によってメンタルヘルスの疾患の根本原因に取り組む治療法を導入し、多くのケースで精神科薬の服用を軽減している。代謝精神科の利用を推進するため、2020年、世界で初めて、唯一の医学的に認められた「メンタルヘルスのためのケトン食臨床医訓練プログラム」を開発。医療従事者を対象に、メンタルヘルス障害の治療にケトン食療法を安全に使う方法を教えている。22年、重度の精神疾患向けケトン食の入院患者研究論文を共同執筆し、バシュッキ脳研究基金の第1回メタボリック・マインド賞を受賞。
■翻訳者/大田直子 おおた・なおこ
翻訳家。東京大学文学部社会心理学科卒。
訳書にアンドレアス・ワグナー著『眠れる進化―世界は革新に満ちている』(早川書房)、スティーブン・ジョンソン著『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』(朝日文庫)、リチャード・ドーキンス著『ドーキンスが語る飛翔全史』、ジェフ・ホーキンス著『脳は世界をどう見ているのか―知能の謎を解く「1000の脳」理論』、マット・リドレー著『進化は万能である』(共訳、以上早川書房)、センディル・ムッライナタン 、エルダー・シャフィール著『いつも「時間がない」あなたに―欠乏の行動経済学』(ハヤカワ文庫)ほか多数。
本書奥付下記載の「原著の原注(Notes)」は下記よりダウンロードしてご覧ください。
番号は本文中に記載のものと対応しています。
https://publications.asahi.com/design_items/pc/pdf/product/25421/notes.pdf