■特集
大津絵
「大津絵」は日本を代表する民画でありながら、著名な画人や画流画派の本格的な作画とは異なり、正面から評価されることが少なく、絵画史上の位置づけの検討も未整理のまま、今ではその存在も忘れられつつあるかに思われます。『國華』誌上では早くから大津絵が数点紹介されてきました〔第361号(大正8年)、第441号(昭和2年)、第590号(昭和15年)〕。この度、60年を経て、ここに特集を編むこととなりました。本号には、日本民芸館にある大津絵の世界的な蒐集のうち代表的名作15点、町田市立博物館所蔵の2点、さらに新たに発見された貫名菘翁賛の双幅、円山応挙および富岡鉄斎の筆になる優品各1点を掲載いたします。多種多様な「大津絵」の全貌の紹介には至りませんが、初期の主要な画質の認識に寄与しうるものと期待してやみません。
■本文
大津絵略説
執筆=水尾比呂志 〈國華社〉
仏画と大津絵
執筆=関口正之 〈遠山記念館〉
浮世絵と大津絵
執筆=小林 忠 〈学習院大学〉
大津絵と応挙
執筆=河野元昭 〈東京大学〉
鉄斎と大津絵─瓢箪鯰をめぐって
執筆=辻 惟雄 〈國華社〉
不動尊・仏と位牌・青面金剛
執筆=仙海義之 〈東京芸術大学〉
鬼の念仏・鬼の三味線・鬼の行水
執筆=尾久彰三 〈日本民芸館〉
槍持奴・長刀弁慶・天狗と牛若丸
執筆=杉山享司 〈日本民芸館〉
竹に龍・隼・鷲
執筆=小泉充康 〈町田市立博物館〉
■図版
地蔵尊 [図版1/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪61.4cm×横23.5cm
阿弥陀三尊来迎 [図版2/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪72.7cm×横28.0cm
不動尊 [図版3/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪71.5cm×横35.0cm
仏と位牌 [図版4/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪55.9cm×横23.7cm
青面金剛 [図版5/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪74.6cm×横31.0cm
鬼の念仏 [図版6/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪59.0cm×横22.0cm
鬼の三味線・鬼の行水 [図版7・8/カラー]
紙本着色 掛幅 各竪61.5cm×横22.5cm
槍持奴 [図版9] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪60.4cm×横21.7cm
長刀弁慶 [図版10] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪62.9cm×横22.4cm
天狗と牛若丸 [図版11] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪61.9cm×横22.3cm
女虚無僧 [図版12/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪59.7cm×横21.7cm
太夫 [図版13/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪48.0cm×横22.0cm
藤娘 [図版14/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪61.7cm×横22.7cm
竹に龍 [図版15/カラー] 町田市立博物館
紙本着色 掛幅 竪65.4cm×横23.4cm
隼 [図版16/カラー] 町田市立博物館
紙本着色 掛幅 竪53.8cm×横19.2cm
鷲 [図版17/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪62.2cm×横22.4cm
旅姿塗笠美人図 [図版18/カラー] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪32.5cm×横22.0cm
円山応挙筆 美人図 [図版19/カラー]
紙本着色 掛幅 竪53.8cm×横26.5cm
富岡鉄斎筆 小黠大膽図 [図版20] 東京国立近代美術館
紙本淡彩 掛幅 竪29.8cm×横22.5cm
瓢箪鯰 [図版21] 東京都 日本民芸館
紙本着色 掛幅 竪62.3cm×横21.8cm
編輯委員
主幹 辻 惟雄
小林 忠
田辺三郎助
関口正之
高階秀爾
河野元昭
海老根聰郎
竹内順一
小川裕充
佐野みどり
名誉顧問 水尾比呂志
発行
國華社
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