北極グマの剥製に顔をつっこんで絶命した伯父。法律書の生き埋めになって冷たくなっていた父。そして、死んだ動物たちに夜ごと刺繍をほどこす伯母。この謎の貴婦人は、はたしてロマノフ王朝の最後の生き残りなのか? 『博士の愛した数式』で第1回本屋大賞を受賞し、多くの新たな読者を獲得した芥川賞作家が、失われたものの世界を硬質な文体で描いた、とびきりクールな傑作長編小説《解説・藤森照信》。
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