1600円(本体価格)/1760円(税込価格)
『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』『人魚が逃げた』本屋大賞5年連続ノミネートの人気作家が、本への熱い思いを語り尽くす。デビューのきっかけ、小説を書く時のモットー、ストーリーの作り方、装丁へのこだわり、図書館の魅力、本屋大賞への思い、本から得たもの……33の質問を通して浮かび上がる作家・青山美智子。
そして、本好きなら思わずうなずく言葉の数々。
「イマジネーションや想像力って、生物として与えられた武器」
「『好き』をねじまげない。否定しない」
「私の作品と出会ってくれる『あなた』は100年後の人かもしれない」
「何者にも負けない最強な弱さが、私を助けてくれる」
「『幸せな作家大賞』というのがあったら、絶対私が大賞だなって思っているんです」
「自分が図書館で働いていた経験があったから書けた『お探し物は図書室まで』」
「旅や出張に行くときは、必ず『そのとき本』というのを用意するんです」
「サイン会で私が一番嬉しいのは『仲間に会えた』こと」
「本がなくても死ぬわけじゃないけど、本があったから生きてこられた」
○聞き手 根津香菜子(ねづかなこ)
雑誌編集部のアシスタントや朝日新聞記事の執筆・編集を経て、フリーランサーに。学生時代、入院中に読んだインタビュー記事に胸が震え、ライターを志す。現在は、役者への取材をメインに活動。幼いころから美味しそうな食べものの本を読んでは「これはどんな味がするんだろう?」と想像するのが好きな食いしん坊。
○語り手 青山美智子(あおやまみちこ)
1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。帰国後、出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。デビュー作『木曜日にはココアを』は第1回宮崎本大賞を受賞。他に『鎌倉うずまき案内所』『月曜日の抹茶カフェ』など、著書多数。『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』『人魚が逃げた』の5作が5年連続で本屋大賞にノミネートされている。
○根津香菜子「まえがき」(一部抜粋)
今回のインタビューは数日にわけて行い、なかにはほぼ半日取材という日もあったのですが、青山さんのお話しはどれも興味深く、私にとっては新鮮で、学びと発見ばかりでした。体は疲れているはずなのに、帰り道はいつもどこか楽しい気持ちと温かさに包まれていました。
これは個人的に感じていることなのですが、仕事柄、インタビュイーの方にお好きな本や読書ライフについてお聞きすると、本が好き、よく読んでいる人は博識で、それぞれに素敵な思い出と言葉を持っているなということです。きっと、言葉や物語の力を知っていて、それが知らず知らずにご本人の人柄や考え方、人生にも反映されているのかなということを、青山さんへの取材中も感じていました。私も本に助けられた経験があります。つらい時や悲しいときは、いつもそばに本がありました。「この時、この本との出会いがあったから今の自分がいる」と思える本と出会えたことは、この先の人生を歩んでいく力になると確信しています。
この本が「作家・青山美智子」の軌跡を知る一端に、そして、青山さんの作品や、広義での「本」への興味を持つきっかけになってもらえたら嬉しいです。
○青山美智子「あとがき」(一部抜粋)
本書は根津さんの「初書籍」ですが、私にとっても「初インタビュー本」です。
物書きでありながら「自分のことを自分ではない方に書いていただく本」を作るなんて、ものすごく貴重な経験をさせていただいたと思います。話すことと書くことは、伝えたい気持ちが同じでも違う表現になったり、思いもよらない方向へと進んだりするものだという発見がありました。
自分で書いた原稿は何度読み返しても冷静でいられるのに、話した言葉が活字になるとどこか照れくさいです。そんな現象に顔を赤くしながら、子どもの頃のことをたどったり、夢中で読んだ作品を思い出したり、これまで関わってくださった方々のお顔を思い浮かべたり、あらためて「本」について考える機会をいただきました。
本の話はどこまでも、どこまでも。
まだまだ、話し足りていないことがたくさんある気がします。そして、それはこれからも増える一方で、私はいろいろな形で語り続けるのだと思います。
そのときはどうぞ、のんびりとおつきあいくださったら存外の喜びです。