春浅い東大寺を訪れた司馬さんの目的は千年以上つづくお水取り(修二会(しゅにえ))を見学することでした。藤原鎌足の墓所がある多武峯(とうのみね)、藤原氏の氏寺として栄えた興福寺など、時の権力者の意向で翻弄された歴史を持つ寺社仏閣を訪れたあとに、気が遠くなるほどに何ひとつ変わらない伝統行事に触れ「この世にはうつろわぬものがあるという安堵感」があると述懐し、文明や文化のあり方について思索を深めていくようすを感じられます。
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